連絡網の基礎知識

連絡網の基礎知識

緊急連絡網を維持する難しさ

緊急連絡網は文字どおり緊急時に連絡するためにある。 メールを利用する場合に特に気をつけたいのは、メールアドレスの変更に対応しなければならない点だ。 電話番号に比べてメールアドレスは変更しやすいため、緊急時に備え登録を促進する必要がある。 緊急連絡網の場合は通常の連絡網に比べ、連絡が届く回数が少ないため、登録を忘れやすい。 普通の連絡をコツコツ出し、利用者に連絡網の存在を常に認識させる必要がある。


無料の連絡網が終わるとき

長らく無料連絡網としてサービスを行ってきた「れんらくもうEducation」が、2011年4月より有料化される。

無料でサービス提供していたEducationが経営不振のため、運営会社が変更となるようだ。れんらくもうシステムの開発を担当していた株式会社イーアイシーが運営を引き継ぐ。

れんらくもうEducationのれんらくもうシステム運営会社変更に対する告知事項

無料のサービスには確かに導入しやすい利点がある。だが、どのように収益を上げて存続しているのか、いつまで提供できるのか、預けている個人情報の管理は万全か、確認すべき事も多いだろう。


情報を持ち歩かない仕組み

成績情報含むUSBメモリや連絡網が無施錠車内から盗難 - 静岡

静岡県立松崎高等学校の教諭が、生徒193人分の成績情報含むUSBメモリや緊急連絡網などを、施錠していない車内から鞄ごと盗まれたことがわかった。

被害に遭ったUSBメモリには、2学年の生徒109人分および授業を担当している1学年と3学年の生徒84人分の成績が保存されていた。

10月9日、メモリを鞄に入れて帰宅。翌日20時40分ごろ、御殿場市内のコインランドリーを訪れ、施錠をせずに5分ほど車を離れた間に、車内に置いた鞄ごと持ち去られた。同校では、全校生徒に対し説明と謝罪を行い、保護者には謝罪文を配布するなどの対応を行っている。

個人情報を含む情報全般は持ち歩かないのが大前提だ。物事に絶対はないのだから、情報を持ち歩けばいつかは漏洩する。だからといって、情報を持ち歩かない事を提唱し教育しても情報漏洩事故はなくならない。

それは仕組みで対応していないからだ。情報を持ち歩かなくても良い仕組みもある。いまどきの連絡網はメールアドレスを管理しなくても良い。情報を持ち歩かない仕組みであれば、情報漏洩する事はなくなる。


職員参集連絡網で情報が到達する速度

連絡網で情報が到達する速度は、伝達の回数に大きく影響され、次点で伝達の方法に影響される。この記事によると、2人の場合は0秒で伝達し、84人の場合は17分かかったという。

これは明らかに人数が多くなると情報伝達の回数が多くなる仕組みを採用しているためだ。伝言ゲームのような電話連絡網が採用されているのだろう。効率よい情報伝達の仕組みを採用すればこれほどの時間差は起こらない。

非常時の情報伝達の速さは最も重要だ。非常時に交通が麻痺すれば、職員参集で出動が5分遅れると到着が30分遅れる可能性もある。情報伝達の回数を減らし効率よい情報共有を行うべきではなかろうか?


新しい携帯電話のサービス

ドコモ、年内に「緊急地震速報」を携帯電話向けに配信

NTTドコモは気象庁が提供する緊急地震速報を携帯電話向けに配信するサービスを年内に始める。今秋以降に発売する携帯電話の新シリーズ「905i」「705i」に同速報を受信できる機能を搭載。その後発売する携帯電話についても基本的に全機種に機能を搭載する方針だ。

携帯電話事業者の中で緊急地震速報の配信サービスに対応するのは同社が初めて。同速報は全国を186地域に分けて提供されることになっており、ドコモは気象庁から送られた情報を自動的に変換。配信する必要のある地域にあるすべての基地局から一斉配信する。 受信機能のある端末は警告音とともに「○○で地震が発生。強い揺れに備えてください」などの文字情報が表示される。

配信には既存の音声やパケット通信網とは異なる「制御チャネル」という通信を利用。一斉配信しても電話やメールなどの通信サービスに影響を及ぼさず、原則として該当エリアに何台の携帯電話があっても配信できる。ただ速報を携帯電話で受信するには専用のプログラムが必要となる。ドコモは今後発売する端末にこのプログラムをあらかじめ搭載し、購入したユーザーは特別な操作や申し込みなしに速報を受信できる。

NTTどこもが地震速報を携帯電話に配信するサービスを始めるという。 残念なことに既存の携帯電話では受信できないらしい。以前より注目していたが結局は機種買換え促進のための道具になってしまったようだ。

記事にはパケット通信網とは異なる「制御チャネル」を利用すると書かれており、メールなどとは別の通信方法で実現するようだ。 そう考えると、既存の携帯電話では実装できなかったのだろう。

しかし地震による被害を受けやすいのは老人だ。その老人が携帯電話の最新機種を保有するとは考えにくい。 この仕組みを本当に生かすのであれば、緊急地震速報サービスだけでは解決できず、人の介在する何かしらの仕組みが必要だと思われる。

また、日本では1997年から2006年までの10年間に阪神淡路大震災を含め27回の大地震が発生したが、予知に成功したケースは1度も無かったとされている。 一斉に配信してしまう仕組みであるため、地震予知の正確性も気になるところだ。


送信すべき情報の判断

エスカレーター事故、発生時に職員派遣せず/川崎

JR川崎駅の東西自由通路のエスカレーターで十二日夜、女性会社員(27)の左足親指がステップに挟まれて大けがを負った事故で、現場を管轄する市川崎区役所建設センターが事故発生当初、現場に職員を派遣せず、エスカレーターを所有、管理する市建設局への連絡が翌朝になるなど、市の管理体制の在り方が問われそうだ。

(中略)

庁内の事故報告処理連絡網はあるが、事故規模やけがの程度などに関する規定はないという。同局は「判断が甘かった」と釈明。「事故の一報連絡を徹底させたい」としている。

情報の配信を行うべきか行わざるべきかの判断は、連絡網の管理者にとって非常に難しい問題だ。 記事では、規模や状況などによる情報配信の規定がなかったため、連絡網の送信が遅れたということだ。

連絡網はネットワークを最大限に生かすための仕組みであるため、非常に大きな影響を持つことになる。 数万単位の連絡網であっても普通に構築され運用されているほどだ。 そして必要とされない情報や間違った情報が流れた場合のリスクを考えると、情報は益々流しにくくなる。

逆に今の情報化社会では官公庁であれ企業であれ、正確な情報の早期公開が求められる。 送信すべき情報であるか否かを判断する難しさが連絡網にはある。

迅速な判断による正確な情報を送信するにはどのような判断が必要だろうか? 連絡網管理者であれば日々考えておきたい問題だ。


緊急連絡網の配信できない理由

緊急メールを保護者に配信

秦野市教育委員会は、市内の小中学校6校に通う児童・生徒への安全対策として、保護者の携帯電話やパソコンに不審者情報などを一斉配信する、「学校緊急メール配信システム」を活用した情報提供サービスを開始する。平成20年度からは、市内の全幼・小・中学校で、運用を進める予定だ。

9月上旬からメール配信システムを開始するのは、希望した南・東・西・渋沢小学校と渋沢中学校の5校。また、今年6月下旬からは広畑小学校で、既にシステムが試行されている。

システムは、配信を希望する保護者のアドレスを事前登録し、送信する学校側が配信業者のサーバーにアクセス、配信する内容を書き込み携帯電話やパソコンへ情報を一斉送信するもの。現在の電話や書面による連絡網と併用され、情報によっては、送信する学年を絞り込むこともできる。

情報は、不審者情報を市教委が受け、学校が配信するほか、学校が児童・生徒から独自に収集した情報を、学校長が判断して送信する。また、運動会などで悪天候による急な日程変更や、日常の連絡などにも利用する。

市教委によると、市内の不審者情報は毎月3~4件程度寄せられ、そのうち月に1~2件を保護者に書面で通知してきた。既にシステムを試行している広畑小では、全児童の73・9%にあたる235人の保護者が登録しているが、運用開始後、8月22日までの間に不審者情報のメール配信はないという。

市教委では、「(メールによって)正確で迅速な情報伝達ができる。できるだけ多くの保護者に登録していただきたい」と話している。

この記事にある連絡網の導入方法が一つの完成された形だと思われる。

既存の電話や書面による連絡網と併用される点はとても良い。連絡網はそれぞれ特徴があり、一長一短がある。どれもベストとはいえない。 だから複数の連絡網を平行して利用するという発想が生まれる。それぞれの連絡網の特徴を捉え適材適所で利用すると良い。

運動会などで悪天候による急な日程変更や、日常の連絡などにも利用する点は、連絡網を継続的に利用するのに非常に都合が良い。 連絡網も使わなければ忘れられてしまう可能性もあるし、問題が発生したときにメールアドレスが変更されている場合もある。 日常利用されることで、受信者の意識を常に向けておける。

しかし、不審者情報を月に1~2回保護者に書面で通知していたはずなのに、システム導入後2ヶ月で1不審者情報のメール配信がないという。 単純に不審者がいなかったという理由も考えられるが、緊急連絡網が配信できなかったのでは?とも考えられる。

緊急連絡網は即時性に優れるが、その即時性から生まれる弊害ももちろんある。 緊急連絡網に焦りを覚えた保護者が学校に殺到することで事故が起こるかも知れない。 学校の電話に保護者からの連絡が殺到して重要な電話をかけることが出来ない状況が生まれるかもしれない。

緊急連絡網の重要性は否定しないが、運用は非常に難しい。 「学校緊急メール配信システム」という名称よりは、「学校情報メール配信システム」という名称で呼び、 緊急連絡網よりも通常連絡網として利用した方が良いとお勧めする。

それでも緊急連絡網として運用したいのであれば、緊急情報受信時の対応方法を決めておいてほしい。 パニックを防ぐためには受信者全員の理解が絶対必要だ。


もったいない連絡網

8月24日(金) 「救助隊の体験記から」

みなべ町の民間ボランティア団体「紀州梅の郷救助隊」3人の、本紙掲載「新潟県中越沖地震に学ぶ」は教えられることが多い。近い将来東南海・南海地震の発生が予想されている中、新潟県中越沖地震は人ごとではない思いだ。

▽「どの被災地でも、報道されるのはごく一部。現地に行くと、それ以上のショックがある」と隊員の1人駒木弘さんは書いている。現場を見た者でないとその悲惨さは分からないだろう。そんな現場で救助活動をした人の話には、大事な教訓が含まれているものだ。

▽駒木さんは「これまでは部屋の明かりを消して寝ていたが、豆球をつけて寝るようになった」そうだ。もし、地震がグラッときても、全く暗いよりは、豆球程度の明かりがあれば幾分行動できると思うからだという。「被災した場合、真っ先にすることは水の確保である。せめて、1戸に2~3個のポリ容器を備えておくべきだ」とも書く。

▽隊員の中早大輔さんは「家族や隣近所の安否確認をすぐにできるようにしておくことや、連絡網を整えておくことも大事だろう」。冨士利郎さんは「電気、水道、ガスなどがすべてストップしても、3日間は自力で生きていけるだけの備えを常にしておいてほしい」という。「地域が孤立した場合、行政は当てにできない。自分しかない」という駒木さんの言葉は、どういう心の準備が必要かを考えさせられるものがある。(香)

記事にあるように、確かに災害用の連絡網を整えておくことは大事なことだ。 しかし、せっかく連絡網を作るのであれば災害時に利用するだけではもったいない。

災害が起こる前に連絡網を利用して「被災した場合、真っ先にすることは水の確保である。せめて、1戸に2~3個のポリ容器を備えておくべきだ」という情報や、 「電気、水道、ガスなどがすべてストップしても、3日間は自力で生きていけるだけの備えを常にしておいてほしい」という考え方を共有しておくべきだ。

災害時の連絡網を構築すると同時に、災害前に共有できる情報は何であるか検討したい。 いざというときに最も役立つのは連絡網ではなく、連絡網で共有された知識や知恵なのだ。


メールの即時性を過信してはいけない

お詫び

日頃は、au電話ならびにEZwebサービスをご利用いただきまして、誠にありがとうございます。 8月22日17:24から21:37の間、インターネットを経由したEメールが混み合い受信がしづらい状況となっておりましたが、復旧いたしました。 大変ご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。

メールの確実性・即時性というのは意外と弱いことはご存知だろうか? メールを利用した連絡網を導入検討する場合、メールの弱さ(リスク)をよく理解しておくべきだ。

特に通信経路に有線だけでなく無線の区間がある携帯電話のメール機能は、即時性が効果を出せない場合も多い。 記事のお詫びのような状況もあれば、受信のタイミングに圏外にいる可能性もある。

また、お詫びでは受信がしづらい状況と表現されているが、お詫びとしてWEBサイトに載せるほどなのだから、 ほとんど受信できない状況であったと考えるほうが正しい。

連絡網の重要性や緊急性が高いほど、メールの届かなかった場合の被害は大きくなる。 システムを信頼していればなおさらだ。 だからメールが届かなかった場合の対処方法を確立しておく事をお勧めしたい。


連絡網の価値

連絡網システムの登場によって、連絡網の価値は「いかに情報を速く正しく届けるか」に傾向してきていると感じる。 システムの高速性や正確性は無くてはならない指標となっているのではないだろうか?
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